三重県厚生事業団は、本年６月２２日に設立５０周年を迎えました。これまで事業団の施設を利用してこられた皆さま、運営にご理解ご協力をいただいたご家族や地域、関係団体・機関の皆さまに心から感謝申し上げます。

　事業団は、県立の福祉施設を管理運営することを目的に、三重県が昭和４８（１９７３）年に設立した社会福祉法人です。現在、知的障がい児（者）を支援する「三重県いなば園」及び身体障がい者を総合的に支援する「三重県身体障害者総合福祉センター」の運営を行い、地域の福祉の向上に取り組んでいます。

　この５０年を振り返りますと、県の行政改革や国の社会福祉制度改革など、事業団の運営に影響を及ぼす大きな環境の変化が幾度となくありました。
　県の行政改革では、事業規模の縮小とそれに合わせた経営組織のスリム化が行われ、事業団も、主体的に自立に向けた経営の健全化を進めました。平成１４（２００２）年には、設立当初から運営してきた特別養護老人ホーム明星園は県から民間へ譲渡されたことに伴い、運営の手から離れました。また、平成１８（２００６）年には、いなば園は県から譲り受け自主経営に、身体障害者総合福祉センターは県の指定管理者としての運営にそれぞれ移行しました。こうした経緯により、事業団は県から自立した社会福祉法人へと変わりました。 また、「措置制度から契約制度へ」「施設から地域へ」といった国の福祉制度の大きな転換にも対応して、入所サービス中心の支援から脱皮して、通所支援機能や相談支援機能の強化、グループホームの整備など支援サービスの多様化を進めるとともに、強度行動障がい支援や高次脳機能障がい支援、障がい者スポーツ振興といった新たな取組にも積極的に参入してまいりました。

　このように、先輩方のたゆまぬ努力や関係者の皆さまのご理解・ご協力により、経営形態や取組内容を大きく変えながら、さまざまな困難を乗り越え、現在の安定した経営につながっているものと考えております。こうした変革の中でも、私たち事業団が変わることなく大事にしてきたものは、利用者さまをはじめ障がいをお持ちの皆さまの期待にお応えしたい、地域福祉の向上に貢献したいという思いです。

　少子高齢化のさらなる進行や福祉のニーズの多様化・複雑化、国の福祉制度の転換などに伴う新たな課題や、新型コロナウイルス感染症のような予期せぬ危機が、これからも生じるものと考えております。私たちは、それらにしっかりと対応していくため、これまで何度も荒波を乗り越えてこられた先人のご努力や創意工夫に学び、何より、障がいをお持ちの方々の笑顔あふれる暮らしを支えたいという熱い思いを胸に、果敢に挑んでいく所存です。

　法人設立５０周年を一つの節目として、これまでの歩みから事業団の存在意義や使命を改めて認識し、次の５０年に向けてのさらなる発展の礎にしていくことが重要です。そのために、役員・職員が一丸となって、今後とも、利用者さまや地域の皆さまからの信頼と期待にしっかりと応えられるよう取り組んでまいりたいと考えております。引き続きの温かいご支援ご協力を心からお願いいたします。

　令和５年６月２２日